こんにちは。
海外赴任家庭のためのお金の専門家、張替愛です。
私は夫の海外赴任でアメリカに来ていわゆる駐在妻となった後、日本ではなかった激しい気分の落ち込み(=”うつ”のようなもの)をよく体験するようになりました。
海外赴任に帯同して初めて迎えた年明けも、早々に軽くうつ状態に落ちてました。
風邪と生理も重なっていたので、単に体が不調でやる気が出なかっただけかもしれませんが、気分もかなりずーんと落ち込んでしまっていたのですよね。
でも、とても簡単なことがきっかけで、うつ気分は消えました。
その経験から、”なぜ駐在妻はうつになりやすいのか”について、考えてみました。
目次
うつ過ぎて、家事も育児も放棄!
年明け早々うつ気分に襲われた私は、
外が寒いことや風邪ひいたことを理由に、
掃除もご飯作りも、予定していた日本での確定申告の準備も後回しにして、
ゴロゴロ寝て過ごしていました。
何に対してもやる気が出ないので、
子供たちが悪さをしても無視、
話しかけられてもほぼ無視、
おかしも食べさせ放題、
歯みがきも無理やり、
寝かしつけも、無言で隣に寝ころがるだけ
と、軽いネグレクト状態。
こんな母親&妻失格の私を見ても、夫はスルー。
怒らないでいてくれて優しいと言えば優しいのですが、無関心って、怒られるのよりもある意味残酷ですよね。
そんな感じで何日もうつ状態から抜けられなかった私ですが、ふっとしたきっかけでうつ状態から抜け出すことができました。
それは、知らないママさんと世間話をしたことでした。
(中国人の妊婦さんでした)
うつから抜け出すきっかけとなった”知らない人”
それは、何日かぶりに外に出て、子供を遊ばせているときでした。
ベンチに座ってぼーっと子供を見ていたら、隣のママさんが話しかけてくれたのですよね。
ここはアメリカなので、もちろん英語です。
私は英語が苦手なので、自分から知らない人に話しかけることはありません。
話しかけられても、相手の言っていることが半分くらいわからないのでうまく答えられず、私から相手に話を振ることもしないので、すぐ終わってしまうことが多いのです。
でも、そのとき話しかけてくれたママは違っていました。
おそらくとても簡単な英語で話しかけてくれたのでしょうね。
なんとなく、何を聞かれているのを理解することができました。
質問に対して私が変な英語を返しても、(通じていたかはわかりませんが)優しく返答し、辛抱強く、何度もいろいろな質問をしてくれました。
「子供は何歳なの?」、「ここには何年くらい住んでいるの?」と言った話から、「なぜあなたの夫はアメリカで就職しないの?」なんて話も聞かれました。
そしてバイバイする頃には、うつな気分がすーっと消えていったのをはっきり感じたのです。
自分だけの世界から抜け出す機会のない駐在妻生活
なぜ、知らない人と少し話しただけでうつから抜け出すことができたのか。
それは、
一度うつになるとなかなか抜け出せない
”自分だけの負の世界”から、
一歩外に出て、
「なんだ、私できるじゃん」
という”小さな自信”を手にすることができたからだと思います。
軽いうつ気分の時に、自分の世界に閉じこもるのって危険ですよね。
ちょっとした夫の一言が悪いように受け取れて考え込んじゃったり、
こんなに何日もさぼっているのに生活に何の支障もないなんて…と、自分の存在意義を疑問に思ったり。
日本にいれば、誰かと会う機会(幼稚園の先生との挨拶だけでもありがたいです)があったり、人の目を気にして育児や家事や身なりを整えたりすることがあります。
でも、駐在妻生活をしていると、そうはならないのですよね。
ここアメリカでは、良くも悪くも人の目を気にせず生活しています。(私だけかもしれませんが。)
ご近所に知り合いはほとんどいませんし、そもそも通りを歩いている人がほとんどいません。
人がいても、『日本語は通じないし、自由の国アメリカなら私が何してようが大して気にされないだろう』と、思っています。
息子の学校の先生とも、必要最低限の会話しかしません。
そのため、気分が良い時には、好きなように独り言を言い、鼻歌を歌い、気の向くままにスキップしたりもします。
しかし反対に、気分が落ち込んでいるときには、死んだ魚のような眼をして、ひと声も出しません。
人の目が気にならない分、外に出ても気を張らないのです。
だから、一度うつな気持ちになったら、たとえ外出してもうつな気持ちを引きずったまま過ごしてしまうのです。
ここが日本ならね、用事で外に出れば、いやでもしゃんとするのですよ。
化粧(…はしない時もあるけど)して、ご近所さんや学校の先生に挨拶して、公園では周りの目を気にしながらきちんと子育てをします。
そして、
「ちゃんと笑顔で挨拶できた自分」
「ちゃんとした身なりをしている自分」
「ちゃんと子供を見ている自分」
に、”小さな自信”を持つことができるのです。
軽いうつ気分なら、こうした”小さな自信”を積み重ねていくことで、うつは悪化しないで少しずつ回復に向かっていきます。
駐在妻の”小さな自信”は本当に小さなことで良い
地域や環境にもよりますが、
駐在妻は”小さな自信”を感じにくい状態にあります。
・お総菜や冷凍食品に頼れないので、うつ気分では食事を作るのが大変
⇒ごはんが作れないことで、うつな気持ちが悪化
・ご近所さんや店員さんと話すのが大変
⇒言葉が通じないとうつな気持ちが悪化、気分転換にもならない
・治安や交通手段の問題で気軽に出かけられる場所が少ない
⇒部屋にこもりがち
・仕事もないので部屋にこもりがち
⇒自分の負の世界から抜け出せない
・時差のせいで昔からの友人や親に電話できない
⇒気分転換できなくてうつから抜け出せない
などなど。
100%の力を出して日本と同じような生活をキープしている駐在妻は、うつで50%の力しか出せなくなると、実際の生活に影響が出てきて、さらに落ち込みやすくなります。
だから、駐在妻がうつになったら、自分自身へのハードルを下げてくださいね。
おいしいお総菜が売ってないんだから、たまには缶詰ご飯になったっていいし、
日本語が話せる人が近くに少ないのだから、夫がいる時間でも日本にいる友人に電話をしてもいいのです。
治安などの問題で気軽に外を歩きにくい分、外に出ただけでも『自分はえらい』と褒めてあげてください。
もっともっとハードルを下げてもいいですよ。
例えば、私は食べることが生きがいなのに、うつになると食欲が低下してあまり食べたいという気持ちが起こりません。
なので、うつの時には「食べ物がおいしい」と思えたら、それだけで”小さな自信”になります。
食欲がないからと言って食べないでいると自分に自信がなくなりうつは悪化するので、例え食欲がなくても頑張って食べるようにしています。
食べて・寝て・立って歩くことができれば100点満点!
うつの時にはそのくらいの気持ちで良いと思います。
うつの我慢は危険!
うつ気分なのに無理を続けてしまうと、鬱病になることがあります。
うつ気分が長く続いて自分で浮き上がれない時には、専門家に相談に行ってくださいね。
鬱病の主な特徴としてはこんなものがあります。
□朝~午前中にかけて特に無気力
□食欲・性欲・睡眠欲が低下
□こうしたうつ状態が1~3か月以上続く
「もしかして私は鬱病かも!?」と思ったら、”鬱病のセルフチェック”などと調べると色々なページが出てくるので、やってみてくださいね!
私のうつ気分はいつも1週間もあれば終わるので、鬱病とはちょっと違うのですよね。
月経前症候群かなと思っていますが、アメリカでお医者さんに行く勇気がないので、放置しています。
うつになることもある。
それも含めて自分自身だ。
そう認めてあげて、うつになった時の上手な受け流し方を学ぶのもアリですよ。
―――――――2018年10月追記――――――――――
夫の海外赴任が終わり、日本に帰国して1年以上が経ちました。
仕事をしているので忙しいですが、精神的には安定して、「やっぱり日本は楽だな~」と日々感じています。
そして、ご縁があって、「海外 こころのヘルプデスク24時」という活動に、相談員として私も参加させていただいています。
これは、海外在住者が、24時間、日本語でいつでも無料で話ができるオンライン相談デスクです。
発起人の秋田まきさんは、現在アメリカテキサス州に住んでいる「海外生活・国際恋愛カウンセリング」のカウンセラーです。
海外で悩める人の役に立ちたいという想いから始まった活動です。
一人で落ち込んだ気分から抜け出せない時など、ぜひお気軽にご利用してください。
◆海外こころのヘルプデスク24時◆